21世紀の建築物用コンクリートを考える－建築物用コンクリートにおける実情と課題－

摘要

20世紀は建築構造物にコンクリートが急激に利用された時代である。建築物におけるコンクリート工事の移り変わり（図1）をみると，戦後，1949年に工業標準化法が制定され，1950年代に建築基準法の制定·公布，JISA5308（レディーミクストコンクリート）の制定等の法整備が行われた。その後，東京オリンピック，いざなぎ景気で沸いた1960年代，高度経済成長の1970年代と建設技術の急速な機械化とめざましい施工技術の発展が進んだ。さらに1970年代半ば以降の25年間で構工法の開発と合理化施工が進むとともに，コンクリートの各種材料の開発も積極的に行われた。また，1970年代後半に発生した大きな地震災害の教訓から1981年に建築基準法施行令が改正され，新耐震設計法へ移行するとともに，1990年代からは，ISO9000's等の導入をはじめとする構造物の品質確保，品質保証が要求される時代を迎えた。