シンポジゥム特集「認知機能障害に対する治療をどう評価するか」

摘要

統合失調症は陽性·陰性症状とともに記憶，遂行機能，注意，語流暢性など認知機能領域の障害を伴う.この認知機能障害は，精神病初回ェピソ一ドゃ顕在発症前の時点ですでに認められ，発症後も安定して存在することが知られている.また，認知機能障害は，社会適応や就労状況といった機能的転帰に影響し，長期的予後の予測因子にもなつている. 以上から，認知機能障害は，統合失調症の中核症状の1つとして捉えられ，認知機能改善に向けた治療法の開発が望まれている.米菌では，認知機能障害の治療法の開発を妨げていた認知機能評価尺度のばらつきを解消するため，信頼性·妥当性を有した包括的認知機能評価尺度であるMATRICSコンセンサス認知機能評価バッテリ 一（MCCB)を用いることが可能になった.本邦でも諸外国と比較可能なMCCB日本語版(MCCB-J)を用いることにより，統合失調症の認知機能障害に対する治療を包括的に評価できるようになつた.