急性膵炎初期診療の重要性を再確認する～「急性膵炎初期診療におけるコンセンサス」の改訂を受けて～

摘要

要約：急性膵炎は重症化するとショック，呼吸不全，腎不全，肝不全，播種性血管内凝固症候 群などの多臓器不全を合併し，致命率が高くなる。急性膵炎の死亡例をみると，発症早期に重 症化し死亡する症例が多く，初期治療がその予後を大きく作用すると言える。厚生労働省難治 性膵疾患調査研究班は膵臓専門医のみならず一般臨床家を対象とし，「急性膵炎における初期 診療のコンセンサス」を作成し，急性膵炎患者の救命率の向上に貢献してきた。本稿では改訂第3版の内容を元に，急性膵炎の初期診療，中でも診断直後からの経時的全身モニタリングの 指標と初期輸液が基本と考え，その重要性を再確認する。十分な初期輸液を施行しても循環動 態が安定しない場合や，抗酵素剤動注療法や持続性血液濾過透析などの特殊療法が必要と判断 された場合は高次医療施設への転送の検討を行う必要がある。