術前MRCPにて診断され腹腔鏡下胆嚢摘出術が安全に施行できた重複胆嚢の1例

摘要

胆道領域の先天奇形である重複胆嚢は稀な疾患であるが,今回,術前MRCPにより診断され,腹腔鏡下胆嚢摘出術が安全に施行できた重複値嚢の症例を経験した。 症例は63歳,男性,術前のMRCPで副胆嚢結石を伴う重複胆嚢と診断された。 腹腔鏡下胆嚢摘出術施行し,術前診断同様,病理組織学的にも,2本の胆嚢管が合流して1本の胆嚢管として胆管に開口するBoyden分類のY型, Gross分類のA型に属するものと考えられた.重複胆嚢は,胆道造影が診断に有用であるとされているが,本症例では結石による胆道系の閉塞により胆道造影では確定診断にいたらずMRCPにて診断可能であった。 胆嚢奇形が疑われ結石による胆道系の閉塞伴う症例では胆道造影とともにMRCPを併用し,術前に胆道の解剖の評価を十分に行えば,安全に腹腔鏡手術施行が可能であると考えられた。