高齢者腎不全医療の現状と問題点 医療経済性の面から

摘要

医療費の増加は高齢者医療における最大の問題点である。医療費を負担する生産年齢人口は1995年の 8,716万人をピークに減少に転じており，わが国の人 口自体が2008年の1億2,769万人をピークに減少に 転じている。現在65歳以上の高齢者は総人口の22% であるが今後2050年には人口は8，000万人台とな り，高齢者はそのうちの40%以上になると予想されて いる。日本は世界で最も急速に高齢化が進行している 医療先進国であり，その未来は世界の医療の未来を示 すものと考えられている。今後わが国における高齢 者の増加，それに伴う医療費の増加は避けられない状 況である。一方，税金を負担する生産年齢人口は，1998 年以後すでに減少に転じている（図1)。このままでは わが国の高齢者医療が破綻に向かうことは十分に予想 される。このようなわが国経済の厳しい状況は，公共 施設などでも予想されている。