がhと生殖医療一生殖医療医の立場から：男性側生殖医療の立場からみたがh?生殖医療の現状と 問題点

摘要

近年のがhに対する集学的治療の発展は著し く，がh患者の生存率は劇的に向上している.こ の生存率の向上は小児がhでも同様に認められ，Childhood Cancer Survivor Studyのコホートを 追跡調査した近年の報告によって，1990年代に 治療開始された患者は1970年代あるいは1980年 代に治療開始された患者に比べ，診断後15年時 点での累積死亡率が減少し長期生命予後が改善し ていることが示されたこのように生存率が劇 的に向上した現在のがh治療においては，治療前 から治療後のQOLを念頭においた戦略を練るこ とが必要となり，特に若年者にとって妊孕性を温 存することは重要と思われる.昨今「Oncofertili-ty」という分野が確立し，日本でも徐々に妊孕性 温存に焦点が当てられつつあるが，その実践についてはまだまだ浸透していないのが現状である. 男性不妊診療に従事する立場から，がh患者での 男性不妊原因から妊孕性温存戦略に至るまでにつ いて概説する.