ドライアイの外科的治療の進歩：涙点ブラグを中心にAdvances in the surgical Treatment of Dry Eye

摘要

ドライアイは，涙液と角結膜上皮の病的な状態が影響 しあって，悪循環を形成する.本邦では，ドライアイを 引き起こすコア?メカニズムとして，涙液層の安定性の 低下により上皮障害が引き起こされ，その結果，上皮の 水濡れ性が低下し，さらに涙液層の安定性の低下が悪化 し持続する，といった悪循環が生じると考えられてい る.したがって，ドライアイの治療を考える場合，い かに涙液層を安定化させるのかを考えることが大切であ る，最近，治療のターゲットを涙液層の油層，液層（水 分，分泌型ムチン），上皮(膜型ムチン，上皮細胞）と，涙液層を意識して治療薬を選択する層別治療(tear film oriented therapy：TFOT)がコア?メカニズムを意識し た治療として提唱されてきている.ドライアイの治療 は，点眼薬による薬物治療が主体であるが，Sjogren症 候群をはじめとする涙液分泌減少型ドライアイ，特に重 症例では，点眼治療のみでは短期間に症状を改善するこ とは難しく，涙点プラグを中心とした外科的治療によ り，涙液を貯留し，液層の強化を促す治療が必要となる.