Ⅹ線検診との比較における胃内視鏡検診有効性評価

摘要

有効性の証明された胃癌Ⅹ線検診との比較を行うことで,内視鏡検診の評価を試みた.1995年度に対策型検診として間接Ⅹ線による胃集団検診を受けた受診者36,876名と, 1993-1995年に任意型検診として内視鏡検診を受けた受診者4,032名を対比した.X線検診での胃癌発見率0.14%,早期胃癌率6836%,5年生存率78.4%より,内視鏡検診の胃癌発見率0.55%,早期胃癌率86.4%,5年生存率95.5%が勝っていた.検診で胃癌と診断されなかった受診者をわが国で最も届け出精度の高い福井県がん登録と照合した.検診を含めて5年以内の胃癌罹患率はⅩ線検診受診者0.66%より内視鏡検診受診者1.26%で高率であり,内視鏡検診受診者の胃痛は有意に進展度が低い症例が多く,胃癌5年生存率はⅩ線検診受診者80.4'より内視鏡検診受診者90.2%が良好であった.検診から5年日までに胃癌死亡した患者は内視鏡検診で2例, Ⅹ線検診では41例であり,死亡率減少効果の面では両検診に歳計的な差は認められなかったが,内視鏡検診のほうが上位であり, Ⅹ線検診以上に内視鏡検診が有効であることが示唆された.