平成17年度日本眼科学会学術奨励賞　受賞論文総説 強度近視眼に続発した中心窩分離症の病因と治療

摘要

強度近視に伴う中心窩分離症は光干渉断層計（OCT）など最近の画像診断技術の進歩に伴い理解され始めた疾患である．後部ぶどう腫の形成に伴って発症することが多く，中心窩網膜を障害することにより視力低下や変視を来す．病因を明らかにするため硝子体手術後の中心窩分離症症例をOCTで観察したところ，術後6か月の時点で約60％の症例で網膜血管沿いに微小皺襲を生じていた．ニの所見は後部ぶどう腫形成に伴い伸展性の乏しい網膜血管が内方への牽引力を生じ，網膜を分離させることを示唆している．．治療として中心窩分離症5例6眼に硝子体皮質除去，内境界膜剥離，ガスタンボナーデを含む硝子体手術を行ったところ全例中心窩網膜が復位し，視力も2段階以上改善した.また，術中術後に重篤な併発症はみられなかった．この結果から中心罵分離症に対する硝子体手術は有用かつ安全な治療であると考えられる．