肩甲骨裏面の筋層下に発生した胸壁脂肪腫切除に関する一工夫

摘要

皮下に発生する脂肪腫はしばしば認められる疾患であり,局所麻酔下に容易に摘出され,完全切除により良好な術後成績を収めている.しかしまれに筋層下に発生することがあり,そのさいには切除にさいして広範な皮膚ならびに筋肉切開を必要とする.今回われわれは,背部の筋層と肋骨層のあいだに発生した良性脂肪腫を経験した.同腫瘍は脊椎近傍から肩甲骨裏面を経て腋窩部に達していたが,腫瘍摘出にさいし内視鏡下手術手技を併用することにより,皮膚ならびに筋層切開を可及的に縮小することが可能となったので,その手技を中心に報告する.