1年の間隔を置いて再燃した一過性脳虚血発作（TIA）の50歳男性例

摘要

短時間で完全に回復する一過性脳虚血発作（transientischemic attack，TIA）は脳梗塞の警告発作であるとされるが，一般にそのような認識は十分浸透していないとの指摘がある。 そこで1年余の間隔を置いてTIAを群発させた自験例を紹介し，TIA診療の問題点を考える。 病歴：2003年6月7日朝，左顔面が動かし　にくい，呂律もまわらないと自覚した。 その後左手足脱力，さらにしびれ感も加わったため，近くの病院を受診。 CTは正常といわれ帰宅した。これらの症状は1時間ぐらいで消失したという。 6月7，8日の2日間で3回同様の発作が繰り返され，いずれも1時間以内に症状は消失した。 6月9日未明，再び構音障害，左半身麻痺が出現したため当院致命センターを受診。 到着時，血圧132/75，脈拍整。 ECGは洞調律。 頭部CTは異常なし。