ヒトインスリン混合製剤から二相性インスリンアナログ製剤(ノボラビッド~R30ミックス)への切り替えによる血糖コントロールの推移

摘要

耐糖能障害例や血糖上昇が軽度な糖尿病においては，空腹時血糖よりもブドウ糖負荷後の血糖上昇が心血管イベントと良く相関することから,食後の急激な血糖上昇が心血管疾患の発症原因の一つとして重要であることが示唆されている．またsu薬で充分な血糖マントロ-ルが稔られない糖尿病症例において，就寝前の中間型センスリノシ追加による空腹時血糖是正群よりも，毎食前超速効型インスリンを追加した群の方がHbA-。 低下に対してより効果的であったとの成績もみられる3)．これらの結果から，空腹時血糖の是正のみならず食後高血糖の是正も糖尿病治療における重要な目標の一つとなってきている．これを達成するには1日3-4回のインスリン注射による強化療法が有用であるが，本邦における糖尿病患者の大部分を占めている2型糖尿病に対するインスリン治療では，患者のライフスタイルや希望を考慮して強化インスリン療法が行いにくい症例に対しては，中間型成分と速効型成分が同時に投与出来ることや注射回数が減らせることから，ヒトインスリン混合製剤の1日2回投与が選択されることも多い．しかしながら，ヒトインスリン混合製剤1日2回投与例においては，食前30分の注射時間が遵守出来なかったり，昼食前に起こりやすい低血糖の不安から間食や食事量が多くなったりして過食傾向になる症例などがあり，血糖のコントロールに難渋する症例が多くみられるのも事実である．