Rh血液型の分子レベルでの考察

摘要

Rh (Rhesus)蛋白質ファミリーは赤血球系細胞上に認められ, Rh30 (RhD及びRhCE)蛋白質とRh30に極めて高い相同性を示すRh50糖蛋白質からなると考えられている.歴史的には, Rh血液型の存在は1939年にLevineとStetsonによって初めて報告され,その後,血清学的研究が急速に進み,現在までに約50種類のRh血液型が発見されている. 1982年にMooreら及びGahm-bergによってRh血液型の本体が分子量32,000の蛋白質であることが知られ,これを機に分子生物学的手法を用いて,その構造特に遺伝子構造の研究が精力的に行なわれることになった.その結果1990年にフランスのグループとイギリスのグループによりRhcE cDNA構造が報告されるなど,現在まで多くの研究者により詳細なRh遺伝子のポリモルフィズムの解明がなされてきた.