多剤併用から第二世代抗精神病薬単剤化への試み Olanzapine単剤治療の可能性を求めて

摘要

われわれは2006年から2007年にかけて抗精神病薬の多剤併用療法を受けている入院中の統合失調症患者17名を対象に，第二世代抗精神病薬への単剤化と抗パーキンソン病薬の減量を試みた。 （1）1年後に第二世代抗精神病薬に単剤化できたのは14名（82．4％）で，その内訳はolanzapine7名（50．0％），risperidone4名（28．6％），quetiapine3名（21．4％）と，olanzapineへの単剤化が一番多かった。 （2）抗精神病薬の平均CP換算量は968．65mgから587．53mgへと39．3％の大幅な減少が図られた。（3）抗パーキンソン病薬は4名（23．5％）に併用されていたが，全例に投与を必要としなかった。（4）今回の対象の平均年齢は66．5歳と比較的高齢であったが，錐体外路症状や肥満，高血糖などの副作用·有害事象は認められず，第二世代抗精神病薬の切り替えにほぼ成功した。