オランザピン治療下における妊娠，出産の1例

摘要

統合失調症患者における妊娠，出産は，その発症年齢を考えると十分に有り得る問題である。 しかしながら抗精神病薬服用を継続したま·ま出産し，胎児に合併症を認めなかったとの報告等もみられるが，催奇形性をはじめとする副作用の発生を危倶し，投薬治療を継続しながら出産をめざすことは回避される場合が多いのが現状である。 最近ではオランザピンを含む非定型抗精神病薬の服用と妊娠，出産，児へのリスクに関する報告もみられてきているが，実際に係ることは極めてまれと思われる中，妊娠6週から10週にかけて服薬を中断した以外はオランザピンを連用し，出産した1例を経験する機会を得たのでここに報告する。