山口県における糖尿病神経障害の実態調査 問診票およびアキレス膿反射の重要性

摘要

糖尿病患者が増加するなか,糖尿病神経障害を早期に正しく診断することが求められているが,臨床家にとってその診断は必ずしも容易ではなく,その頃度も報告によって差がみられる。そこで,我々はアンケート形式の問診票と膝立位でのアキレス腱反射を必須項目として,山口県における糖尿病神経障害の実態調査を行った。2004年10月と11月の2カ月間に49施設の協力で2108例を調査した。本調査以前に神経障害「あり」と診断されていた症例は580例(27.5%)であったが,調査の結果神経障害「あり」と判定されたものは948例(45.0%)に増加した。 増加した症例での診断根拠のほとんどは両側のアキレス腱反射の異常であった。 糖尿病神経障害の簡易診断基準に掲げる3項目のなかでも,アキレス腱反射は手技も簡便で,自覚症状,振動覚検査に比べて客観性が高いことから最も有用な検査と考えられた。