他剤無効の統合失調症患者において,クエチアピンにより陰性症状の著明な改善をみた1例

摘要

クエチアピンは1980年代初めに米国Zeneca社で発見されたdibenzothiazepine系化合物で,米国では1986年より,わが国では1992年より開発が開始され, 2000年12月に厚生省から承認を受けた。 クロザピン様の非定型抗精神病薬を目指して開発されたが,その脳内受容体への親和性は, α1受容体への親和性が最も強く,ほぼ同力価の抗H_1受容体作用がこれに続くが,抗精神病作用の本態であるD2受容体拮抗作用に比して2.2倍という強い5-HT_(2A)受容体拮抗作用を有している。