排尿障害におけるbeta_3受容体刺激(作動）薬

摘要

過活動膀胱(OAB)とは，尿意切迫感を必須とし，頻尿，夜間頻尿や切迫性尿失禁など 複数の蓄尿症状を併せもつ症状症候群であり，患者の日常生活に様々な支障をきたす. 日本排尿機能学会により行われた疫学調査によると，日本人の有病率は40歳以上で 12.4%であり，総数は810万人と推定されている.OABに対する第一選択薬は抗コリン薬であるが，口内乾燥，便秘，霧視などの副作用が あり，特に高齢者では服薬コンプライアンスに影響することが多い.また，前立腺肥大 症（BPH)などの下部尿路閉塞（B00)疾患を合併するOAB患者に投与すると高度排 尿困難や尿閉を引き起こすことが危惧される.蓄尿期においては，交感神経が活性化することにより膀胱は弛緩するが，これには，特 にだ3受容体サブタイプが関与している.抗コリン薬のような副作用がなく蓄尿機能を改 善できる薬剤としbeta_3受容体作動薬が期待されていたが，2011年9月に世界で初めて ミラべグロンが上市され，近々欧米でも上市される予定である.この薬剤の真の適応， 併用療法の可能性は今後検討される.