エリスロポエチン産生細胞と ェリスロポェチン遺伝子の発現制御機構

摘要

エリスロポエチン（erythropoietin, EPO)は，高地環境や出血などの低酸素刺激によりその産生が誘導され， 造血器における赤芽球の分化および増殖を誘導すること で末梢血中の赤血球量調節に働くホルモンである。1950 年代以降，低酸素刺激に反応してEPOを産生する臓器 の探索が，羊やラッ卜を用いて行われ，主要な産生臓器 が腎臓であることが示された。一方，腎臓以外の臓 器におけるEP0産生も多数報告されているが（Table 1),しかし，実験動物を用いた解析の結果から，腎 臓以外の臓器では腎臓からのEP0産生を代償できない ことが示されている。また，遺伝子破壊マウス は胎生13日頃に重度の貧血を呈し致死となることから， EP0は胎生期の赤血球造血にも必須であることが知ら れているが，その際のEPO産生臓器に関してはよく知 られていなかった。