臨床現場におけるWHO分類：悪性リンパ腫分類の問題点

摘要

悪性リンパ腫の理解は，診断のみならず各腫瘍の特性を考慮した治療を考える上で必須と云える。 2001年，世界保健機構WorldHealthOrganization，WHOの国際腫瘍分類シリーズ（いわゆるBluebooks）の一つとしての「造血組織およびリンパ系腫瘍」編が新訂公刊された（Table1）。 この新訂WHO分類は，血液リンパ系腫瘍全体を網罹し，近年著しく進歩した免疫学的，分子生物学的解析結果を積極的に取り入れることにより確立された個々の腫瘍単位をすべて亜型項目としてリストアップしたという形の分類である。 Pathology＆Geneticsという方向性が明確に示され，また分類全体を貴くものとして"疾患単位"が強調される。 すなわち，悪性リンパ腫の診断は，病理組織所見morphology，免疫学的表現型immunopheno－type，分子病態genetic features，および臨床病態（予後，治療反応性）clinical manifestationsを総合的に勘案する必要がある。