プロテアソー厶阻害剤ポルテゾミブの作用機序とその感受性因子

摘要

プロテアソ一ム阻害剤であるポルテゾミブは，初発および再発難治の多発性骨髄腫の治療において幅広く使 用されているものの，その作用機序はまだ十分に解明されていない。作用機序の詳細を明らかにすることは， 新規薬剤の至的な投与法の確立や，薬剤の獲得耐性を明らかにし克服するためにも必要不可欠である。ポルテ ゾミブの骨髄腫細胞に対する作用機序のなかでは，プロテアソー厶阻害による小胞体ストレス誘導およびその 応答機構が，骨髄腫細胞の細胞死に深く関与している。最新の研究では，上記応答機構の中で，小胞体ス卜レス関連アポトーシスに関与する因子である/(tF遺伝子群および小胞体関連分解に関わるXBP-1遺伝子の発現 レベルがポルテゾミブ治療の感受性に関与することが報告されている。さらに，これらの因子はポルテゾミブ 耐性との関連も注目されており，プロテアソー厶阻害剤の作用機序および耐性機序は徐々に明らかになりつつ ある。