治療中に急性散在性脳脊髄炎を合併した特発性血小板減少性紫斑病

摘要

ADEMは,急性·単相性の経過をとる脳脊髄の炎症性散在性白質病変により神経症候を呈する疾患,と定義されている。 ウイルス感染あるいはワクチン接種を誘因とした自己免疫機序で発症し,多彩な神経症状を呈するが,明確な診断基準はなく,その診断に苦慮することが多い。 一方,ウイルス感染後にみられる血小板減少においてち,自己免疫機序が関与し,急性ITPの臨床像をとることが知られているが,これまでのところITPにADEMを合併した症例の報告はない。今回,我々はウイルス感染後急性ITPを発症し,その治療中にADEMを合併した症例を経験したので報告する。