小児気管支喘息に対する吸入ステロイド療法

摘要

気管支喘息の本態が気道炎症と考えられるようになって以来,吸入ステロイド薬は洋の東西を問わず,喘息の中心的な長期管理薬となっている.2002年改訂された『小児気管支喘息治療·管理ガイドライン2002』では2000年版に比べ,より軽症からの使用が示されている.最近の病理学的研究によると,乳幼児でも気道粘膜への炎症細胞の浸潤やリモデ)ングといった成人喘息と同様の病理所見が観察されてかり,このような新しい知見を踏まえたうえでの改訂であると考えられる.またこのなかで,early intervention(早期介入)の重要性が指摘されているが,乳幼児における吸入ステロイド療法の効果·安全性の確認,小児での気道炎症の非侵襲的なモニタリング法の開発,リモデリングを増強する因子の解明などが今後の大きな課題となっている.本稿ではガイドライン2002を中心に吸入ステロイド薬の用量反応性,初期投与量,副作用,併用薬など実際の使用法についても解説した.