NASHの臨床診断 非アルコール性脂肪性肝障害とNASH

摘要

肥満などによって起こるインスリン抵抗性が病因と考えられるNASHは,飽食の時代を迎えたわが国においてもまれな疾患ではなく,今後日常診療において遭遇する機会も増えると考えられる.NASHの診断は,①非飲酒者,②肝組織がsteatohepatitis,③他の肝疾患の除外,でなされる.その病態は.自覚症状は乏しく,トランス77ミテーゼの土昇も軽度で,画像診断では脂肪肝との鑑別は不可能で,肝生検のみが診断根拠となる.NASHの重症度,つまり線維化と相関する因子は,高齢,肥滿,Ⅱ型糖尿病,AST>ALT,血小板低値,肝機能低下などである.画像診断で脂肪肝を呈し,これらの因子を有する症例は,進行したNASHの可能性が高く,肝生検による病態の評価が必要である.また,トランスアミテーゼ正常のHASHがあること,脂肪沈着の程度とNASHの重症度は相関しないニと,徐々に進行して肝硬変に至ること,肝硬変例では発癌も視野に入れた経過観察が必要であることに留意する必要がある.