プロテアーゼインヒビターによる血液凝固線溶系の制御－トロンビン，プラスミンの制御機構－

摘要

生体における主要な凝固経路は組織因子依存性凝固経路である．この経路は組織因子と血液凝固第Ⅵ個子の接触によって開始され，生成されたトロンビンによるフィプリン生成によって終了する．生理的反応を超えた病的フィプリン生成は致命的となることもあるだけに，生体には複数のトロンビン制御機構が存在してフィプリン生成を制御している．一方，生体防御として形成された血栓は合目的的にその溶解時期や溶解速度が律速されている．これらの機構を担っているのは凝固線溶にかかわる複数のプロテアーゼインヒビターである．本稿ではこれらのプロテアーゼインヒビターの機能および制御の機構について述べる．