骨粗鬆症の病因と病態

摘要

閉経後のエストロゲン欠乏は．エストロゲンの骨芽細胞系細胞での骨吸収性サイトカイン産生抑制作用やosteoprotegerin発現促進作用の低下により．また破骨細胞への直接作用の低下をも介して．骨吸収の亢進を主体とする閉経後骨組鬆症をきたす．また男性でも．加齢およびアントロケン欠乏が骨形成の低下とともに骨吸収の亢進をもたらし．骨代謝平衡の陰性化により骨組鬆症をきたす．長期臥床や微小重力環境下での力学的負荷の低下は骨形成の抑制とともに骨吸収の亢進により．不動性骨粗鬆症をきたす．さらに．ステロイド過剰はおもに骨芽細胞の分化抑制とアポトーシス促進を介する骨形成の抑制により,短期間に高度な骨強度の低下と重篤な脆弱性骨折を伴うステロイド骨組鬆症をきたす．いずれに起因する病態においても，カルシウム·ビタミンDの不足は副甲状腺機能の亢進なとを介して骨代謝平衡の陰性化をもたらし病状を悪化させる．