脳腫瘍の遺伝子治療

摘要

悪性脳腫瘍は手術,化学療法,放射線療法を併用した集学的治療を行っても一般的に予後か悪く.とくに悪性クリオ-マはここ数十年治療成続の向上がみられない.遺伝子治療の悪性脳腫瘍への応用は開発早期から期待され.積極的に開発が進められてきた.初期の自殺遣伝子治療の臨床結果から既存のベクターの遺伝子導入効率の低さという問題点か明らかになり.最近は少ない発現から大きな抗腫瘍効果を期待できる免疫道伝子治療と腫瘍特異的に複製する増殖型ウイルスを用いるウイルス療法が注目されている.とくに後者は.ウイルスゲノムに治療遺伝子を組み込むことによりウイルス複製に伴う直接的な殺細胞作用に加え.腫瘍内で増幅された治療遺伝子発現による抗腫瘍効果の増強か期待てきる.欧米では増殖型ウイルスの脳腫瘍内投与の安全性が臨床試験で確認され.わか国でも膠芽腫に対する臨床試験の準備が進められている.