血清レプチン値の基準範囲設定の試み

摘要

1994年に同定された肥満（ob）遺伝子の分泌蛋白レプチンには，中枢を介した摂食抑制作用や代謝亢進作用があることが報告されてから，体脂肪量を調節する飽食因子としてレプチンの病態生理学的意義が検討されている．現在までに，ヒトの血中レプチン濃度はbody massindex [BMI：体重（kg）/身長（m）~2］や体脂肪率と正相関し，性差があり，男より女で高値であること，さらに，個体差が大きくBMIや体脂肪率が同じでも高値例や低値例があることが報告されているが，種々疾患との関係などの臨床的意義はなお不明のままである．また，わが国では血清レプチン濃度に関して一般成人多数例の報告も少なく，また，血清レプチン値は体脂肪量の増加とともに高値となるため，その基準範囲も明らかにされていない．