抗癌剤感受性試験の臨床的意義

摘要

胃癌·大腸癌·膵癌の新鮮分離腫瘍細胞を用いてSDI法による抗癌剤感受性試験を行い,個々の症例ごとにchemosensitivity test-guided chemotherapy(CSC)としてその結果に基づいた個別の癌化学療法を行ってきた.感受性試験の結果に従った化学療法によるresponder群と画像上効果が明白でなかったnon-responder群SDl法の抑制率を比較すると, responder群では5-FU以外のすべての薬剤に対する抑制率が高く,とくにCDDPにおいて有意差を認めた.また,拡大3群リンパ節郭清を行ったステージIII,IV進行胃癌において抗癌剤感受性試験に従った治療群(CSC)の5年生存率は56.3%であり,標準化学療法群(SO+化学療法非施行群(NC)の5年生存率は28.1%であった.ステ-ジⅣのみに限ると,csc群の5年生存率は38.1%であるのに対しSC+NC群11例では0%と大きな差を認めた.以上より,抗癌剤感受性試験に基づいた化学療法の臨床的有用性が示唆され,今後の大規模比較臨床試験による検証が期待される.