血管内皮前駆細胞を用いた肺高血圧治療 肺高血圧症と血管内皮前駆細胞

摘要

原発性肺高血圧症に代表される肺動脈性肺高血圧症は肺血管内皮障害を病因とするきわめて予後不良な疾患である.著者らは血管内度前駆細胞を用いて肺血管の再生を試みた.さらに,血管内産前駆細胞の機能増強のためにあらたなex vivo遺伝子導入法を開発し,強力な血管拡張ペプチドであるアドレノメデュリン遺伝子を血管内皮前駆細胞へ導入した.血管内皮前駆細胞はゼラチン/DNA複合体を貴食し,細胞自身への高率の遺伝子導入が可能であった.経静脈的に投与した血管内皮前躯細胞は肺動脈に付着して血管を形成した.アドレノメデュリン遺伝子導入血管内皮前駆細胞の移植はモノクロタリン誘発肺高血圧ラットの肺高血圧を軽減し,生命予後を改善させた.血管内皮前駆細胞を用いた細胞移植/遺伝子ハイブリッド治療法は重症肺高血圧症に対するあらたな治療法となる可能性がある.