血液疾患患者に対する血小板輸血の使用基準

摘要

血小板輸血の多くが血液疾患に伴う血小板減少症に対する出血予防の目的で使用（予防的投与）され，出血の治療に使われる（治療的投与）のはわずかである．欧米からの質の高いエビデンスが集積され，①安定した患者（造血幹細胞移植も含む）への予防的投与基準が従来の血小板数20，000／mm~3から，10，000／mm~3に下げられ，②1回の血小板投与はより高単位の成分製剤が医学的 医療経済的により有利であることが明らかとなった．しかし，外科的 侵襲的処置時の安全な血小板レベルや治療的投与基準など多くがいまだに科学的検証の対象になっていない．しかし，つねに心がけることは，血小板輸血のきっかけ（トリガー〉は血小板数にのみに依存するのではなく，患者の臨床症状，とくに出血症状の評価も合わせもつことである．