15歳女児の爪甲下に生じた悪性黒色腫の1例

摘要

15歳,女児.初診の約5年前に,右第1足止爪甲下の5X3mm大の黒色斑に気づいた.徐々に増大したため当科を受診した.初診時,右第1祉爪甲下に11X6mm大,境界明瞭,色むらのない歪んだ長方形の隆起怪異色病変を認めた.Spitz母斑を疑い辺縁から2mm離して切除した.病理組織では表皮から真皮中層にかけて大小不同の核異型を伴う腫瘍細胞がシート状に増殖し,一部に核分裂像および表皮内の個別性増殖がみられた.悪性黒色腫と診断し,術後21日目にセンチネルリンパ節生検を施行したところ,鼠径リンパ節にメラニン顆粒を有する大型から中型の紡錘形の細胞が密にみられた.画像検査では他部位に転移はなく,以上より悪性黒色腫stage IIIB(pT2aN2bM0)と診断した.右鼠径リンパ節郭清術および原発巣の拡大切除術後,DAV-Feron療法を5クール施行した.初診から10か月経過した現時点において,再発や転移は認めない.