血液型判定キッ卜(ォーソ~Rバイオクローン~R抗A， 抗B)を用いた病理組織標本での血液型判定の試み

摘要

病理検査が関与する医療過誤で頻度が高くしかも重大な医療事故に発展しかねないのは，検体の取り違えである.1999年に不幸にも発生したある病院での手術患者取り違え事故を契機に，医療事故についての情報が急速に増加し続け，国をあげての事故防止対策の模索が始まった.しかし，翌年には同様の事例が他院でも発生している.これらの患者誤認の多くは人為的なミスによるものが大半であり，中には病理検体の取り違えが原因になっているものも含まれている.これら病理検体の取り違えの発生を未然に防ぐシステムの構築が望まれるが，現在のところ完璧な方法は存在しない.そのため臨床経過と病理診断とが乖離した場合には，他標本からのコンクミネ一ションゃ検体の取り違えの可能性なども念頭におく必要があると思われる.