自己歯根膜細胞シ一卜を用いた歯周病治療

摘要

昨今の再生医療の発展により，細胞移植によって，今まで治療困難であったさまざまな疾患を完治させることが可能となりつつある.近年，胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)などの多分化能をもった細胞が樹立されて研究が進み，再生医療への期待と注目が高まつている.本稿では歯科領域の研究のうち，筆者らが行つている再生医療技術を用いた歯周病治療の確立を目指した研究を紹介する.まず幹細胞能をもつヒ卜歯根膜細胞を採取し，その性質を検証した.その結果を基に，自己歯根膜細胞を細胞シ一卜化して歯周病患部へ移植する歯周組織再生療法を開発した.さらに細胞移植の際に問題となる，細胞の安全性や有効性を評価する方法を確立し,臨床研究実施に向けて取り組んでいる.