頻用される薬剤と骨折リスク

摘要

臨床で頻用される薬剤のなかに，骨代謝に影響して曽折発生率を上昇させる可能性のある薬が報告されてきている．ウルフアリン投与は1年以上の長期間で曽折率を高めることが報告されており,1年以上の長期のプロトンポンプ阻害薬使用がとくに高用量で大腿昏骨折のリスクを上昇させることが指摘されている．また,チアゾリジン系薬剤内服と骨折リスク上昇との関連の報告や,三環系抗うつ薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬が骨折頻度を上昇させることなどが報告されている．これらの薬剤が骨折率を上昇させる機序については未解明な点も多いが．事後さらにさまざまな薬剤についても骨代謝への影響が明らかにされる可能性がある．日常臨床における薬剤の選択や用量·投与期間の決定の際には,骨折リスクへの影響についても注意していく必要があると考えられる．