クロミフュン無効な多嚢胞性卵巣症候群に対し，柴苓湯の併用療法が奏効した6症例の検討

摘要

多嚢胞性卵巣症候群（polycystic ovary syndrome ： PCOS)は生殖年齢女性の5 — 8 96に発症し，月経異常や 不妊症などの主要な原因の一つである。PCOSの治療は受診年齢や背景，特に挙児希望の有無により異なる。挙児 希望のある女性のPCOSに対する治療の第一選択はクロミフェン療法である。ただし抗エス卜ロゲン作用に伴う， 子宮内膜の菲薄化や頸管粘液の減少も伴うことや，クロミフェン療法が無効な患者もいる。そこでクロミフェン療 法が無効なPCOS患者に柴荅湯を併用し,排卵周期が回復した6症例を経験した。柴苓湯が有効であつた症例の多 くは，東洋医学的に瘀血ゃ水滞スコア値が高ぐまた投与後の血中LH値，LH/FSH比が無効群よりも低下した。 さらに柴苓湯有効群はテス卜ス卜ロン値もより低下していた。ゴナド卜口ピン療法や腹腔鏡手術などの第2選択が 行われる前に，証に応じて試みる価値があると推察した。