脚気

摘要

脚気はビ夕ミンB_1，欠乏症の一つである.脚気の初期には，自律神経失調症に似た不定愁訴（脚気様愁訴）が現れる.脚気を潜在性の段階で発見するためには，この不定愁訴を見逃さないことが重要である.とくに腎機能障害·肝硬変·重症感染症·がんといった基礎疾患を有する疾患では多彩な症状が出現するため,不定愁訴の見きわめが難しく，ビ夕ミン欠乏状態が進行するとアシドーシスによつて死の転帰をとる場合もある.そのため，脚気は過去の疾患と思わず，頭のなかに入れておくべきである.さらに，心胸郭比の上昇（脚気心)，および最低血圧の低下（高拍出性心不全）の有無を確認する.これらの検査と血中ビ夕ミン値が基準下限値である28mg/mL以下で脚気の疑いはより濃厚となる.さらに，ビ夕ミン剤10-75mgを投与することで不定愁訴が消失し，検査所見が改善すれぱ,本症の診断は確定する.