浅田宗伯門人による結社輔仁社と『輔仁社実験録』(勿誤薬室後の塾生について)(1)

摘要

今年は浅田宗伯先生が明治一一十七年三月十六日に亡くなられてから一一一〇年となる節目の年である。戦前には節目ごとに先生を顕彰する記念祭が行われていた。特に門人木村博昭が参加していた皇漢医道会では、機関誌『医道』において、毎年三月に特集を組み昭和五年には三七年大遠忌を主宰している。戦後になると、『漢方と漢薬』誌上で浅田宗伯門下石井就三、木村博昭養嗣子木村長久、同じく木村博昭門下安西安周、亀田貞、小出寿らが、浅田流をよく伝えている。また矢数道明先生、長谷川弥人先生が機会あるごとに記念祭を企画し、また書籍(『勿誤薬室方函ロ訣』や『浅田流漢方入門』など)の序文を浅田宗伯の命日に起草しているのは有名である。