PEGによる長期経腸栄養患者における潜在性銅欠乏例

摘要

PEGによる経腸栄養を長期間実施している患者7例に対し血液検査を行い，検査の結果血清銅とセル口プラスミンの値が基準値より低値で潜在性銅欠乏と考えられる2症例に対し，一日20gの純ココアを60日間投与した.血液検査の結果，患者7例のうち2例が血清銅とセル口プラスミン値が基準値よりも低下していたが，貧血や好中球減少は認められなかった.この2例に対し純ココアを投与した結果，血清銅やセル口プラスミン値が上昇し， 基準値内に改善した.また，純ココア投与による消化器症状などの副作用は，とくに認められなかった.潜在性の銅欠乏状態は発見されにくく，その状態が長く続くと貧血などの症状が出現するので，今後長期経腸栄養患者に対しては，微量元素を強化したタイプの経腸栄養剤を用いていても，潜在的な銅欠乏に注意を払いチェックする必要がある.