非喫煙·前喫煙教職員を対象とした受動喫煙による健康被害への意識のアンケート調査

摘要

未成年者に受動喫煙による健康被害を正しく教育することは重要であり，それを担う小中学校と高校の教職員の役割は大きい.今回，現役教職員の受動喫煙による健康被害への意識と受動喫煙防止策への知識を調査する目的で，非喫煙·前喫煙教職員452名のアンケートを解析した.評価法には非喫煙者に対しても評価可能な加濃式社会的ニコチン依存度調査票（以下KTSND)を用いた.364名（80.5%)が受動喫煙の機会があると自覚し，39.6%に受動喫煙による自覚症状があった.受動喫煙による健康被害を「気にしない」と回答したのは合わせて34.9%であった.健康被害を「感じる」「少し感じる」「あまり気にしない」「全く気にしない」の回答別のKTSND値はそれぞれ10.5+-5.7点，12.3+-6.0点，14.7+-5.8点，18.4+-4.9 点と4群で有意差がみられ，気にしない教職員は喫煙を容認する傾向がみられた.受動喫煙防止策で「防止できる」と回答した群で，KTSND得点が有意に高値を示した.したがって，非喫煙·前喫煙者でKTSND 得点が高値の教職員は受動喫煙による健康被害を過小評価し，防止策を過大評価する傾向があり，受動喫煙に関する再教育が必要であることが示唆された.