拡大胸腺摘出術および放射線照射後に器質化肺炎と両側緊張性気胸を発症した重症筋無力症合併胸腺腫の1例

摘要

症例は62歳，男性.重症筋無力症合併胸腺腫に対して，拡大胸腺摘出術および術後縦隔放射線照射を行った.半年後に乾性咳嗽が出現し当院を紹介受診し，胸部画像所見でびまん性陰影を認めた.気管支鏡検査の病理組織所見で器質化病変を認め放射線関連器質化肺炎と診断し，内服中であったプレドニゾロンを30mgに増量した.その後気胸を発症し両側緊張性気胸に進展した.両側胸腔ドレーン挿入後，胸腔鏡下に右S5ブラ切除術を行い，両側気胸の治癒を得られた.重症筋無力症合併胸腺腫に対し拡大胸腺摘出術および縦隔放射線照射後に，放射線関連器質化肺炎，気胸を発症した症例はこれまで報告がない.同術後に気胸を併発した場合，両側緊張性気胸を発症するリスクがあり留意すベきと考えられた.