膵頭十二指腸切除術の温故知新

摘要

1898年にAlessandro Codivillaは滕頭部癌に対して 十二指腸の大部分と滕頭部を切除し，胃幽門部および 膵断端を縫合閉鎖し総胆管を結紮した.再建はRoux-Y型の胃空腸吻合および胆囊空腸吻合を施行した.20 世紀初頭には死体を用いたPDの研究が進められ， 1912年にKauschは膨大部癌に対して二期的にPDを 施行した.ここまでの十二指腸切除は部分的であった が,1935年にWhippleらが膨大部癌に対して，十二 指腸全部と滕頭部を切除するPDを行い，現在のPD の原型がほぼ出来上がった.ただし，この頃は膵断端は消化管と吻合することなく閉鎖されていた.その後，1941年にChildが空腸断端と膵断端を縫 合するPDを施行し，現在のChild法が確立された. 1943年にCattellは滕腸吻合の重要性を主張し，拡張 脬管は膵管空腸吻合を行うかチューブ揷入を行って吻 合し，膵管拡張のない場合はnecrosing sutureを行 うことを報告した.1946年にはWhippleも膵管空腸 吻合を行い，これが今日のWhipple法となっている.