亜全胃温存膵頭十二指腸切除術と幽門輪温存膵頭十二指腸切除術における臨床成績の比較検討

摘要

亜全胃温存膵頭十二指腸切除術（以下SSPPD）群21例と幽門輪温存膵頭十二指腸切除術（以下PPPD）群12例の入院期間，手術時間，出血量,術後合併症，胃管留置期間，食事開始時期，早期胃内容排出遅延（delayed gastric emptying）の発現頻度，術後血清アルブミン値の変動について比較検討した。 SSPPD群およびPPPD群について，入院期間,手術時間，出血量,術後合併症の比較では有意差を認めなかった。 胃管留置期間，食事開始時期の比較では，SSPPD群はPPPD群に比して有意に胃管留置期間が短く，食事開始時期も早く,delayed gastric emptyingの発現頻度も低かった。 術後血清アルブミン値の変動についての比較では,両群間に有意差を認めなかった。 以上よリ．SSPPDは,今後の膵頭十二指腸切除法として推奨されるべき術式の1つであると考えられた。