直腸癌局所再発に対する外科的アプローチの要点

摘要

直腸癌局所再発では長期にわたり，自壊した腫瘍や直腸粘膜に露出した腫瘍からの出血，神経浸潤による会陰?下肢の疼痛，腸閉塞などのQOLを大きく損なう難治性合併症を患い，惨な経過をたどる症例も少なくない.治療として手術療法，放射線療法，化学療法やこれらを組み合わせた集学的治療が様々試みられているが現状では外科的完全切除が唯一，根治が期待できる治療法であることに異論はない. 直腸癌局所再発に対する外科手術における最大のポィントは，詳細な画像診断に基づいて完全切除の可否を判断し，術計画を立案することにある.すなわち，癌の局在と拡がりを念頭に置いたうえで，周囲を取り卷く自律神経?内腸骨血管および膀胱?前立腺?精囊子宮?膣?卵巣?仙骨などの周囲臓器のみならず，内閉鎖筋?梨状筋?仙棘靱帯?仙結節靱帯などの軟部組織の切除範囲に至るまで，その切除ラインを過不足なく綿密に計画する必要性がある.