食道胃接合部癌に対するアプローチ 「経胸」の立場から-食道胃接合部癌における至適郭清範囲に基づく術式選択

摘要

欧米では食道癌の大半を食道胃接合部癌が占め，そ の豊富な症例を背景に，これまで様々な検討がなされてきた.その分類を提唱したSiewertらは，1,602症 例ものデータベースを基に臨床病理学的特徴を報告し ているその中でTypeII (485例）には中縦隔1%, 下縦隔11%のリンパ節転移率があるとし，推奨術式 は経裂孔的拡大胃全摘が良いとした.しかし，データ ベース構築の施行術式は拡大胃全摘（75%),経裂孔 下部食道切除（19%)がまとんどで，開胸（5.6%)は 一部にのみ施行されたにとどまっている.残念ながら 欧米のスタンダードが経裂孔的切除であり，開腹中心 のデータベースから常に判断されることになる.