結腸癌治癒切除後卵巣転移の1切除例

摘要

転移性卵巣癌は本邦では胃癌からの転移が多く大腸癌からの転移は比較的少ない．決してまれな疾患ではないが，遠隔転移であるため予後も非常に悪く臨床上重要である．今回われわれは大腸癌術後8か月で左卵巣に転移をきたした症例を経験したので，若干の文献的考察を加えて報告する．患者：55歳，閉経女性.　 主訴：腹部膨満感.家族歴·既往歴：特記すべきことなし．現病歴：1999年4月19日に貧血，腸閉塞にて入院．横行結腸癌の診断で5月1日に右半結腸切除術を施行した．手術時の肉眼所見は全周性3型腫瘍，SS，P_0，H_0，M（－），N_2，StageⅢb，病理組織学的所見は中分化型腺癌，SS，ly_2，V_1，n＋（No221，222），．ow（－），aw（－），ew（－）で絶対治癒切除であった．この際，術中卵巣に異常所見は認めなかった．術後の経過は良好で5月29日に退院した．