恥骨後式前立腺全摘除術後に発症した 直腸尿道瘻の1例

摘要

前立腺癌に対する前立腺全摘除術後の直腸尿道瘻は稀な合併症であるが難治性となることが多く，その治療法に関しては現在も様々な議論がなされている.今回われわれは恥骨後式前立腺全摘除術後に直腸尿道瘻を来たした症例を経験したので報告する.瘻孔は保存的治療で自然閉鎖したものの，瘢痕部を経肛門的に修復した後に人工肛門を閉鎖した.症 例患者：56歲，男性主訴：糞尿既往歴：28歳痔瘻の手術現病歴：2007年8月，前立腺癌cT2cN0M0の診断のもと，恥骨後式前立腺全摘除術（以下，RRP)施行. nerve-spanngは行わず，lateral pedicleはLigaSure~R で処理した.前立腺周囲の癒着はなく，術中に直腸損傷は認識されなかった.病理結果はadenocarcinoma (mod-por), pT2cN0, GS 4 + 5, ew (-)であった. 経過良好であつたが術後8日目，糞尿が出現した.