ヮルファリンとPGx

摘要

ヮルファリンは50年以上もの長きに渡り世界中で使用されている抗凝固薬である。弁置換術後や心房細動が原因となる脳塞栓症，あるいは深部静脈血栓症/肺血栓塞栓症などの予防や治療，また抗リン脂質抗体症候群での血栓症予防など幅広く用いられている。その作用機序はビタミンK依存性の血液凝固因子（第II因子，第VII因子，第IX因子，第X因子）の合成抑制である。長い歴史の中でその効果は確立されており，現在経口抗凝固薬のスタンダ一ドであることに疑いをもつ者はいない。その一方で多くの臨床医が「使いにくい薬」であると感じている。実際，患者によつて至適投与量が10倍以上もの開きがあり，同一患者でも時期によって必要量が変動する，多くの医薬品との相互作用があり，食事ゃ栄養状態による影響が強い，効果発現に時間がかかり内服中止後も数日以上効果が残存する，など欠点が多く， 「理想的な抗凝固薬」には程遠い。