物理刺激によるスキヤフオールドフリー再生軟骨の構築

摘要

長期に亘って異物を生体内に残さずに,細胞の治癒能力に頼る再生医療の研究が脚光を浴びるようになってから,10年以上の月日が経った。軟骨組織は他の生体組織に比べて構造が極めて単純であるため,皮膚と並んで早期に再生医療の実用化が期待され,欧米を中心に多くのベンチャー企業が立ち上がった。しかしながら,生体内分解性の担体に細胞を播種·培養して作製した再生軟骨は,細胞の分化状態の制御が難しく,さらに担体内部への細胞の均一播種,生体内分解性の材料の分解と細胞によるマトリクス産生のバランス制御,形態制御などにおいて問題がある。そのため,現状では臨床における要求に充分応え得る再生軟骨は完成していないと言っても過言ではない。