人工心肺で用いられるポリ塩化ビニル製ポンプチューブの表面形態観察

摘要

人工心肺装置とは、心臓や血管の外科的手術において体外循環を施行する場合た用いられる人工臓器である。 この体外循環の駆動装置として用いられるのが血液ポンプであり、回転式ローラーで血液回路のポンプチューブをしごき、血液回路内の血液に一定方向の流れを与えている。 この血液回路のポンプチューブには、耐久性、耐薬性に優れているといわれているポリ塩化ビニル（PVC）が最も広範に使用されている。 しかし、人工心肺装置の長時間稼動の際に、PVC製ポンプチューブの劣化に伴う流量誤差や破損などの事例が、近年報告されている。そのような人工心肺装置稼動中のトラブルは患者の容態を大きく悪化させてしまう危険性が高く、原因究明と装置改良は緊急の課題である。